「ほこりをかけたたたかい!?」の巻
漆芸にはいろいろな作業工程があり、
漆そのものを塗るという作業は、
全行程のほんの一部でしかありません。
多くの場合、
中盤から後半にかけてではないでしょうか。
その漆そのものを塗るという作業には、
下塗り、中塗り、上塗りと3つの工程があります。
下塗り、中塗りの段階では
特に気を使う必要はなくても、
上塗りでは気を使うことがあります。
埃やごみです。
下塗り、中塗りの段階では、
塗って乾燥させた後に
研ぎの作業を行うので、
いくらか埃やごみが塗り面に
取り残されていても、
研ぎ落とされてしまいます。
(この段階においても、
埃やごみは無いに越したことはないのですが。)
しかし、上塗りは仕上げ塗りなので、
塗り面に埃やごみが取り残されていたり、
空気中の埃が付着してしまうと、
仕上がりが汚くなってしまいます。
そのため上塗りをする時は、
下塗り、中塗りの作業をする時よりも、
もっと気を使って、
丁寧な作業をしなければなりません。
埃やごみ。
それは刷毛の中から出てきたり、
空気中に漂っていたりします。
刷毛は使用前に、
内部のごみを丁寧に洗い出します。
洗うと言っても、水洗いではありません。
これから塗ろうとする漆自体で、
刷毛内部のごみをしごき出していくのです。
(これについては、
またいつかお話しようと思います。)
また、空気中に埃をまき上げたりしない様に、
作業中の動作・動線を小さくする工夫をしたり、
埃がたちにくい服装で作業を行ったりします。
あと、刷毛や作業環境の埃・ごみ以外にも
気を使うのが、漆自体です。
漆自体にもそれらは入っていたりします。
なので、上塗り用の漆を使う場合は、
丹念に埃やごみを濾しとる必要があります。
写真は、昨日行ったその濾しとり作業の様子です。
きれいな上塗り漆にするため、
7回程濾しとってみました。
そして、
本日の午後、
わくわくしながらさっそく
上塗り作業を行いました。
刷毛の状態や塗り厚、空気中の埃、
作業動作によりまき上がってしまった埃、
乾燥のさせ方等の
技術面、環境面での問題ではないでしょうか、
先程、ちょっと覗いてみた乾燥中の作品には、
少ないですが、しっかりと埃が付いていました。
当たり前ですが、
まだまだ精進しないといけません。
ファイト、俺!
……いえ、楽しいですよ。
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